こんにちは。コロナウイルス感染が止まらない、ヨーロッパ・ドイツ在住ブロガーのユウコフランクフルト(@yukofrankfurt)です。
2月頃からこちらの記事にて、ドイツでのコロナウイルスの現状をお伝えしてきていますが、情報が更新されるたびに情報量が増えてきた為読みやすいように大きなトピックを分けて整理させていただきます。
今回の記事ではヨーロッパへこれから渡航する人向けに、皆さんが気になっているであろう
コロナウイルスで現地での差別はあるのか?
コロナ差別が心配。ヨーロッパで実際にどんなことが起こっているのか?
ヨーロッパでもし差別を受けた場合、対処法はあるのか?
などの疑問を持つ方にとって参考になるような情報や、ドイツ在住の筆者が見聞き・体験したコロナウイルスにまつわるアジア人差別についてありのままをシェアしていこうと思います。
尚、現地での情報は筆者が一般人として集めたものです。
実際の情報が異なる場合もあります。
また、実際起こったことに関してありのままお伝えしていますが、あくまで一例として参考程度に読んでいただければと思います。
こんなことが他の人に起こったから自分にも起こるというわけではありません。
ご自身でも情報をしっかり確認して判断いただくことをお願いします。
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新型コロナウイルスでドイツやヨーロッパではアジア人差別はある?
日本にいる多くの方々が、ヨーロッパ人を見たときにどこの国出身か見分けがつかないのと同じように、ヨーロッパにいる人が日本人を見ても中国人を見ても、全部同じに見えてしまいます。
元々存在感の大きい国、中国で発生した新型コロナウイルス。
アジア人を見ると全て中国人に見えてしまい、皆が神経質になっているこの頃では差別的な言動に遭う確率もないと言い切れません。
ヨーロッパ在住のアジア人や日本人が受けたコロナ差別事件のニュース
3月近くになると、一部地域で報道されたようなアジア人に対する差別やそれに伴う理不尽な扱い、更には暴行事件がヨーロッパでもちらほら起こっていると聞きます。
実際先日ライプツィヒではブンデスリーガ観戦をしていた日本人グループが、『コロナウイルス感染の疑いがある』と一方的な言いがかりをつけられ強制退場される事件が起こりました。
この事件は日本でもドイツでも大きく報道され、ドイツ人たちからも多くの非難が寄せられました。
後日、サッカー独1部クラブが謝罪したとの事です。
イギリス・ロンドンでシンガポール人留学生が「コロナウイルスを持ち込むな」と暴言を吐かれ、暴行を受ける事件が発生しました。
今回の事件は、4、5人のグループに通りすがりに『コロナ』と言われ、振り返ったところ『見るな』『コロナを持ち込むな』と暴言、暴行を加えられたとの事でした。
(参考:TBSニュース)
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コロナウイルス感染が拡大するにつれ、ヨーロッパの一部の人たちは『全ての根源は中国人のせいだ』と憎悪を感じている人もいるのは確かでしょう。
そして、ダイアモンド・プリンセスの報道も世界中で大々的にされたので、中国も日本もごちゃ混ぜで考える人も出てきていますし、アジアをひとくくりにして考える。
今や何人であろうがアジア=コロナ、と思う人もいるのが残念な事実です。
新型肺炎を報じるヨーロッパの一部メディアで『コロナ差別』と取れる紙面で炎上
フランス北部の地方紙クーリエ・ピカール(Courrier Picard)は、1月26日の新型肺炎の記事に『イエロー・アラート(Alerte jaune:黄色警報)』というタイトルをつけて発行。
その見出しが『イエロー・ペリル(Péril jaune:黄禍論)』を連想させ、人種差別だと抗議を受け謝罪。
Cette leçon de racisme décomplexé vous est offerte par le @CourrierPicard #coronavirus pic.twitter.com/jhcoNmsmm5
— Madjid Messaoudene (@MadjidFalastine) January 26, 2020
お隣の国フランスで大バッシングを受けたのを横目に、数日後ドイツのメディアも物議を醸し出す紙面を発行。
ヨーロッパで最も発行部数が多いドイツの週刊誌、デア・シュピーゲル(Der Spiegel)が2月1日号で『コロナウイルス、メイド・イン・チャイナ(CORONA-VIRUS Made In China)』という表紙を公開。
Der neue Spiegel ist da! Auf dem Titel: Made in China – Wenn die Globalisierung zur tödlichen Gefahr wird. Das und mehr ab morgen am Kiosk und ab jetzt hier: https://t.co/mdLGH9alMx pic.twitter.com/lf3hsJfzPJ
— DER SPIEGEL (@derspiegel) January 31, 2020
これに対し、上記のツイッターのコメントに見られるようにドイツ人からも大バッシングを受け炎上してしまいました。
これはヨーロッパにおける根本的なアジア人に対する差別的な感情が新型コロナウイルスというきっかけで露呈しただけだと思います。
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差別は世界のどこでもあり、同国人同士でもあるもの。
色々な人がいる世の中なので残念ながら一部メディアでもこのような事はこれまでもこれからも定期的に起こってしまう事だと思います。
ただし、これらの炎上具合を見ても、起こってしまった差別に対して抗議する人も多数いるということ。
気にしているとキリがありません。
フランクフルト在住者が見聞き・体験した新型コロナウイルスでのアジア人差別
まず基本的には筆者の住むフランクフルトでは、様々な人種が暮らしています。
トータルで見るとコロナ関連でのアジア人差別に関しては個人的にはそこまで多大な影響があると思いません。
ただし、人とそのときの状況や運によるのでなんとも言えないのが現実なのですが・・。
聞いた話だと、
・日本からの出張の方が混み合うホテルの朝食会場で空いている席に座ったら近くにいた白人が別の席に行った
・電車内でジロジロと見られて言葉が理解できなかったけど恐らく自分の事を言われていると感じるケース
・通りすがりに『コロナ』と捨て台詞を吐かれる
・ひどいケースでは歩いていて水をかけられた
という話は人づてに聞きました。
私自身、平日は毎日公共交通機関を利用しますが、街中で特に何か起こった事はありません。
ただし。
上述したように2月に仕事でアンビエンテというメッセに5日間いたときに、人混みのいる場所だけマスクをしていた筆者。
当時はまだマスク着用義務でなく、マスクをしている人もまだまだ少なかった(特にドイツ人など西洋人)時でした。
一度だけ、メッセ会場でのシャトルバスに乗り駅に向かうときに『差別的なトラブル』と言える事を経験しました。
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近くに座っていたドイツ人女性に『また中国人が乗ってきた。中国人だらけ、多すぎる』というようなコメントを言われました(!)。
実際私が乗ったバスに既に何人か中国人と思われるアジア人が乗っていたので、また来た、と思ったようです。
筆者はこういう聞き捨てならないセリフを黙ってやり過ごすおとなしいアジア人ではないので(笑)、その瞬間に反論。
まず自分は中国人でない事(アジア人全体をひとくくりにしてネガティブな言い方だったためこう言いました)、マスクは逆にその女性を守るかもしれない事、このような発言は差別的発言である事などを英語及びドイツ語でしっかりと訂正し相手を黙らせておきました。
1日中、メッセ会場で多くのアジア人を見かけた挙句、近くに座ったアジア人な私がマスクをしていたから彼女は敏感に反応し、我慢できなくなったのでしょう(笑)。
客観的に考えて、ドイツ的な思考を持つ彼女の気持ちはよくわかります。
ドイツでは、マスクをしていると重病患者と思われて警戒されてしまうから。
(注:この記事を書いたのが2月だったのですが、4月以降はドイツでもマスク着用義務とともにマスク姿は定着しています。)
それに、確かにメッセ会場は中国人だらけ・・・なのは事実。
2月頃はコロナの感染者の大多数が中国・武漢からだったので、私だって毎朝乗っていたメッセ会場行きの混み合うSバーンに中国人が乗ってきたら警戒してしまいました。
ですが、この状況下、展示会という場所でなぜマスクをしているか、常識のある人なら理由は想像できると思うのです。
それに上記のようなコメントをわざわざ人に聞こえるように言って何になるのか、と言う話です。
心の中で思っておけば良いだけのどうでも良いコメントを、大声でいうのは単なる意地悪です。
該当者でもない他人の気分を害するだけ。
不特定多数の人がいる公共の場とはいえ、ビジネスの場であるメッセ会場内でこんな発言を言ってしまう人の方が常識が欠如しているのは明らか。
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私はドイツ在住なのでマスクに対して嫌悪感がある人もいるという事実を完全に承知の上、今回は自分の身を守りたいので周りがどう思うとか気にせずにマスクをする事に決めました。(当時はマスクをする人はまだまだ少なかった)
なので、色々な人もいる中こういう事が起こる可能性があるのは想定内でした。
想定内なのでさしてショックでもなく、理不尽な言いがかりにすかさず反論する余裕もありました。
マスクをしたら絶対防げると思い込んではいませんが、少しの可能性でもリスク回避できるならしておきたいと私は考えていたので、マスクをしていた事に関して全く後悔はありません。
マスクをしていなくて後に感染した方が、あのときやはりマスクをしておけば・・と考えてしまうのは確実ですから。
ちなみにメッセ会場ではアジア人以外のヨーロッパ人の来場者でマスクをしている人が結構いたのです。
また、『アジア人』といっても本当に様々な国の人がいるので、日本人である私たちでなく他の国の人も差別を防ぐための工夫が見られました。
例えば一部の方々は、メッセの入場パスに自分の国旗と国名(『Thailand タイ』など)がついた大きいステッカーを貼っているのを見かけました。
自分が感染しても誰も責任は取ってくれないわけで、重病患者と思われようが必要な場面では気にしてられないわけです。
実際フランクフルトのメッセ期間には多くの中国人が来場するので、当時はできるだけのリスク対策といてやむをえない場合はマスクをしても良いと判断しました。
少しネガティブな話題になってしまいましたが、事実としてこんなことがあったということを紹介しておきました。
しかし、上記のような振る舞いをするドイツ人はマイノリティーと考えてください。
日本の方のアテンド中など特に利用しないといけないタクシー。
タクシーの乗車拒否の話もどこかの国で聞いていたため、筆者は手を挙げて止まってくれたタクシー運転手に最初に笑顔で『私たちは日本人だから、コロナウイルスはないよ!』と若干の皮肉も入れたジョークを挨拶代わりに言っていました。
(注:この記事を書いたのが2月だったので、その当初の話で現在と状況は変わっています)
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何度もタクシーに乗りましたが、この一言のおかげか、嫌な顔をするドライバーは皆無。
むしろ上記の発言が面白かったのかそこから会話が続いたり、フレンドリーな車内でした。
タクシーに限らず、ホテルやその他の場面で見知らぬ人と話さないといけない時に、最初に予防線としてこのような断りを出してコミュニケーションを取ってみるというのも一案かもしれません。
ドイツでアジア人差別に遭ってしまった!緊急の連絡先、通報先はある?
今後の状況次第ではもしかしたら今後酷い暴言などコロナ差別的な場面を経験してしまうかもしれません。
筆者的には交通事故に遭うぐらいの割合で、運によると考えますが、あまりに酷い事があった場合は我慢せずに、絶対にドイツの警察や該当機関に報告しましょう。
ドイツの救急番号:112番
ドイツの警察への緊急通報:110番
また、ドイツには公的な『差別禁止機関( Antidiskriminierungsstelle)』という場所が存在します。
英語でも良いので何かあれば報告して欲しいとあります。
Wir raten Betroffenen, sich bei unserer Beratung zu melden: Telefonisch (Montag 13-15 Uhr, Mittwoch und Freitag 9-12 Uhr) unter 030 18555- 1855, per Mail an beratung@ads.bund.de oder über das Kontaktformular: https://t.co/qf5i0CqYdj
Anfragen sind auch auf Englisch möglich.— Antidiskriminierung (@ADS_Bund) March 2, 2020
『コロナ差別』に限らず、ヨーロッパにいるとアジア人という事で差別を受けることがあります。
普段、アジア人差別に関してはドイツ全体で見ると酷いケースは稀だと感じますが(寧ろ筆者が10年近くいた居たアメリカよりマシなぐらい)、やはり世の中には色んな人がいるので差別自体は残念ながらないと言い切れません。
理不尽な対応をされた場合、欧州では我慢して泣き寝入りは意味をなしませんし気にしないようにしたり黙っている事は美徳でもありません。
どうせ通報しても意味はない、と考えず駄目元でも必ず然るべき場所に通報して下さい。
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以下、ドイツの連邦差別禁止機関のホットライン、連絡先です。
また、在外邦人の治安に関することなので有事の際にはドイツにある日本大使館や日本領事館へ連絡もしましょう。
こちらの記事ではドイツのどこに日本の在外公館があるか、管轄地域や連絡先なども紹介していますのでチェックしてみて下さい。

新型コロナウイルスに関して、ドイツ在住者の視点からいくつか記事を載せていますのでよかったら合わせて参考にしてみてください。