Halli Hallo! ドイツ在住ブロガーのユウコフランクフルト(@yukofrankfurt)です。
今回は知っているようでなかなか知らない!?キリスト教の最大の祝日、イースターについて。
ドイツ在住者の視点から、ドイツでのイースターについて日程や由来、イースターおなじみのシンボルについて紹介していきます!
キリスト教最大の祝日、ドイツのイースターの由来や過ごし方、うさぎやイースターエッグなどのシンボルについて紹介
イースターはドイツに限らず、ヨーロッパや北米、中南米など、世界中のキリスト教のバックグラウンドを持つ地域で幅広く祝われる祝日です。
1年のうち1番大切なキリスト教の祝日といえばイースターと言えるぐらい、海外でイースターは重要な存在です。
色々な地域でさまざまな形で過ごすイースターですが、実はイースターに関わるものはドイツ発祥のものが多いのは知っていましたか?
クリスマスマーケットやクリスマスツリーなど、クリスマスに関するものもそうですが、イースターに関しても色々な文化や慣習がドイツ由来と言われています。
イースターといえば、うさぎや卵モチーフのお菓子を食べたり卵に色をつけたりするお祭り程度なら誰でも知っているかとは思いますが、イースターの由来や歴史、またなぜうさぎや卵が登場するのかよく分からないという方もいるのではないでしょうか。
かくいう筆者も昔はなんとなくパステルカラーのかわいいうさぎグッズや卵型のチョコを食べる時期という程度しか認識してませんでした笑
知っているようでなかなか知らないイースター。
今回の記事では、ドイツでのイースターについて詳しく紹介していこうと思います。
イースターについて【由来・歴史など】
イースターとは?クリスマスと同じかそれ以上に重要な祝日
イースター(復活祭)は、死んだイエス・キリストが復活したことを記念する祝祭日で、教会ではもっとも古い祝日とされています。
キリスト教の大きな祝日=イエス・キリストが生まれたクリスマス、というイメージが日本ではあるかと思いますが、実はイースターはキリスト教ではクリスマスと並んで非常に重要な祭事。
むしろ、クリスマスよりも重要とも言われているぐらいです。
日本ではイースターのことを「復活祭(復活大祭)」と呼ぶこともありますが、まさにイースターは「(亡くなった)キリストが復活した」ことからそう呼ばれています。
十字架にかけられ死んでしまったイエス・キリストを神が復活させ、キリストが復活したのは死後3日後。
復活したキリストはその後約40日間ほどに渡り色々な人の前に現れ、その様子も聖書に記されています。
ある時は、500人以上もの人の前に同時に現れたという記録もあります。
これらの事象から、イエスは死からよみがえり復活したという事実は使徒パウロなどイエスの弟子たちによって証言・確信されています。
イースターはドイツでなんと呼ぶ?名前の由来は?
ここドイツでは、イースターは「Ostern(オースターン)」と呼ばれています。
「イースター」は英語の読み方(Easter)で、もともとドイツ語のOsternを英語にしたという話。
復活祭のことを「イースター(オースターン)」と呼ぶ由来については諸説色々あるようですが、よく言われているのはゲルマン神話に出てくる女神エオストレ(Eastre/Ēostre、オスタラとも呼ばれる)に由来する説。
エオストレは夜明け、豊穣、多産をつかさどる春の女神として知られてます。
イースターはキリストの復活を祝う日でもあり、アングロサクソン民族にとっては新しい生命の始まりの象徴である春の訪れを祝う祝日でもあるので、女神エオストレが由来する説は有力なのではないかと思います。
イースターはいつ?何月何日?
まず結論からいうと、2024年のイースターは3月31日(日)です。
ただし、次の年の2025年はちがう日がイースターになります(4月20日)。
理由なども含めて、独特なイースターの日程の決め方などについて紹介します。
イースターは毎年変化する移動祝日
イースターはいつ?と聞かれると、一般的な回答はなかなかシンプルにはならず、「イースターは春頃、3月下旬~4月中旬の間にある日曜日で毎年変わる」という回答になります。
イースターの日程は毎年変化します。
なぜかというと、イースターは『春分の日以後の満月直後の日曜日』に祝うから。
西方教会では、3月22日〜4月25日までのどこかの日曜日がイースターとなります。
この数え方は、紀元325年に開かれた第1ニカイア公会議で決議され定められ、ドイツ語ではOsterrechnungと呼ばれています(英語:Comptusコンプトゥス)。
春分はキリスト教会では3月21日に固定されています。また、満月についてもキリスト教の教会暦をもとに決められています。そのため、日本の暦の春分の日や満月とは異なります。
イースターに限らず、ドイツではこのような「移動型の祝日」がかなりあるので毎年のカレンダーチェックは欠かせません。
自力で毎年のイースターを割り出そうとするとなかなか厄介ですよね。
ちなみにイースターと並んでキリスト教では重要な祝日クリスマスは毎年12月25日(ドイツでは26日も)ですが、こちらはイースターのような決め方ではなく毎年同じなので安心!
イースターの日は教会により異なる
ローマ・カトリック、プロテスタント、聖公会などの西方教会はグレゴリオ暦を採用しているのでこれらの宗派は同じ日がイースターとなります。
ドイツも日本もグレゴリオ暦を使って計算するので同じ日がイースターの日程です。
正教会(ギリシャ、ロシア教会)などの東方教会はグレゴリオ暦ではなくユリウス暦を使っているのでイースターの日が西方教会と異なります。
たまに日程が同じになる時があり、最近だと2017年のイースターは西方教会・東方教会ともに同じ日がイースターでした。2024年は再び西方教会と東方教会の定めるイースターが同じ日になります。
参考までに西方教会のイースターと東方教会のイースターは今後何年かはいつかを紹介します。
年度 | 西方教会(ドイツなど) | 東方教会(ギリシャ、ロシアなど) |
2023年 | 4月9日 | 4月16日 |
2024年 | 3月31日 | 5月5日 |
2025年 | 4月20日 | |
2026年 | 4月5日 | 4月12日 |
ドイツのイースター日程と知るべきポイント
2024年のイースターの祝日カレンダー・日程表
上述しましたが、2024年のイースターは3月31日・日曜日です。
さらに、他の日も「イースターの祝日」となります。
2024年のドイツのイースターによる公的な祝日は以下の通りです。
2023年のイースターの祝日 | 祝日 | 日本語訳 |
3月29日(金) | Karfreitag | 聖金曜日 |
3月31日(日) | Ostersonntag | イースター・復活祭 |
4月1日(月) | Ostermontag | 聖月曜日 |
ドイツのイースターの時期、知るべきポイントと注意点
上の表をご覧のとおり、もともと日曜日は祝日ですが、それに加えてドイツではイースター直前の金曜日(聖金曜日)とイースター翌日の月曜日(聖月曜日)も公的な祝日です。
公的な祝日がある時のドイツでは、一般的な店やスーパーなどが閉まっていて町は静かです。
ドイツの祝日に慣れていないままイースターを迎えると、突然店が閉まっているから買い物できない!ということも起こり得ます(筆者が身をもって体験済み笑)
なので、クリスマスの時期同様イースターの時期はドイツでは大きな祝日であるということ、イースターの前後の金曜と月曜は祝日と覚えておきましょう。
ただし、上の表をよく見ると土曜日は公的な祝日に入っていないですよね。
土曜日も聖土曜日(Karsamstag)と呼ばれキリスト教上で受難週のうちの日に当たりますが、この日はドイツでは公的な祝日ではありません。
つまり、イースター中買い物がしたい!という人は土曜日であればスーパーなどが開いているので土曜日にGO!
ただし普段より混んでいたり、通常より営業時間の短縮がある&個人店の場合はその日も閉まっている場合があるので注意。
ちなみにイースター期間、すなわち教会の典礼暦でいう「復活節」はイースターの日曜日を第1主日(復活主日)として始まり、その後聖霊降臨の主日(ペンテコステ)に至るまで50日間となります。
イエス・キリストが十字架にかけられる1週間前のエルサレム入城の日(棕櫚の主日)からイースターの日(復活祭)の前日までの期間をドイツではKarwoche、日本語では受難週と呼びます。
Karwocheの金曜日をKarfreitag・聖金曜日(ドイツでは祝日)、土曜日を聖土曜日・Karsamstagと呼んでいます。
ドイツでは1950年代頃まで受難週(Karwoche)の時期は多くの店が閉まり、公的な祝い事などのイベントも開催禁止となっていました。
今では受難週のうちドイツでは金曜のみ店が閉まる日となっています。
ただし、今でも聖金曜日は『大きな音楽を出したりするパーティ・イベント禁止』とするTanzverbotを実施しています。
つまり、聖金曜日はクラブなどが閉まっていることがあります。
ベルリン、ブレーメン、ハンブルクなどの州ではTanzverbotは他の州より短い期間で設定しています。
バーデン・ヴュルテンベルク州、バイエルン州、ヘッセン州、ラインラント・プファルツ州、ニーダーザクセン州、ザールラント州の6つの州では聖金曜日だけでなく聖土曜日もTanzverbotを適用しているので夜遊びが好きな方は注意。
イースター前後の日について解説【ドイツの祝日は3日間】
ここではドイツの祝日である聖金曜日(Karfreitag)から聖月曜日(Ostermontag)までそれぞれの日について紹介します。
聖金曜日 Karfreitag
イエス・キリストが重い十字架を背負って歩いたのち祭司長や律法学者達の手によって十字架に掛けられる『受難の日』。
死亡したキリストはその夜墓に葬られます。
死体が盗まれないよう、キリストの墓の石に封印をして番兵が命をかけて墓の番を担いました。
教会ではキリストが死亡したとされる15時頃に礼拝が行われます(地域により異なる)
ミサはあるものの、この日から復活祭までの間、教会の鐘を鳴らさないので静かな時間が続きます。
上の項目でも紹介しましたが、この日はドイツ全州では大きい音を出すイベントなどは禁止されています。
ドイツではこの日は祝日となります。
聖土曜日 Karsamstag
十字架にかけられたキリストの死を追悼する日です。
カトリックでは、この聖土曜日が1年のうちもっとも静かな日と言われています。
キリストが復活したのは土曜の日没後〜日曜の明け方の間と言われています。
そのため、聖土曜日の夜(ただしキリスト教の暦では日曜日)から復活祭の日曜早朝あたりにあちこちで「復活徹夜祭」が開催されます。
ドイツではこの日は祝日扱いではないので、スーパーなど店が開いています。
復活祭/イースター Ostersonntag
イースターの日曜日・復活祭は十字架にかけられ死んだキリストが死を克服し復活した日で、キリストの復活を祝う日です。
キリスト教ではこの復活祭がもっとも重要な祝祭日とされています。
贖罪(しょくざい)という神の使命を果たしたキリストの復活により、キリスト教ではすべての人は死後天国へいくチャンスがあると考えられ、死は終わりではなく新しい人生の始まりとしてとらえられています。
教会では早朝にOsternacht(復活徹夜祭)といわれる、教会の一年の典礼のうちもっとも盛大な祭儀がとりおこなわれ、多くの教会の前にはイースターキャンドル(Osterkerze)の火が灯されています。
バイエルン州ではパン、ハム、卵、Osterlämmerと呼ばれる子羊型のケーキなどを礼拝で奉献(Speisenweihe)されるのだとか。
ドイツの家庭では、多くの人がこの日はクリスマスと同じく家族で過ごす日でもあります。
イースターのシンボルであるうさぎ、イースターバニー(Osterhase)が家の中や庭などに隠したとされるイースターエッグを家族で探すのも一大イベント。
卵を探し終えたらイースターのごちそうを家族で楽しみます。
聖月曜日 Ostermontag
ドイツではこの日は祝日となり、引き続き店は閉まっているので家族でゆっくり過ごすことが多いです。
新約聖書のルカの福音書に出てくるエマオ(Emmaus)という町に復活したキリストが現れ、エマオで旅の途中だったクレオパとその弟子がキリストに出会います。
このことから、南ドイツやオーストリアなどでは自然の中で祈り、歌いながら歩く「Emmausgang」と呼ばれる散歩をする慣習があるそうです。
この日に限らずドイツ人は散歩が大好きなので、娯楽などが開いていない祝日に春を感じるアクティビティといえばやっぱり散歩!ということでEmmausgangとして実行するでもなく、どの地域のドイツ人も自然の中で散策を楽しむ人が多くいるはずです。
ちなみに厳密には「イースターのためのイベント」ではないものの、バイエルン地方の町トラウンシュタイン(Traunstein)では、毎年この日に聖ゲオルクをたたえる「Georgiritt」と呼ばれる巡礼が行われています。
伝統的な衣装に身を包んだ参加者や音楽隊が、トラウンシュタインからエッテンドルフ(Ettendorf)の教会まで装飾された馬に乗って移動。歴史的な剣舞もあり、春の訪れにぴったりのイベントです。
インテリアにも!イースターでよく見るシンボルについて
イースター、と聞いていくつかイメージが浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
例えばうさぎや卵モチーフのグッズなど、日本でも見かけることがあるかと思います。
「うさぎや羊のデコレーションやお菓子があるけどあれはなぜ?」と思った人も多いのではないでしょうか?
イースターの時期、インテリアやお菓子などにも使われるシンボルについて、意味や由来もふまえて紹介していきます。
卵【イースターエッグ】
イースターの定番といえば、真っ先に思い浮かぶのは色とりどりにペイントされたカラフルな卵ではないでしょうか。
なぜ、イースターには卵が欠かせないのでしょう。他の多くの民俗文化にも言えるかと思いますが、イースター=卵、の起源は正確にいうと不明だそう。ただし、一般的にはだいたい次のような説が考えられています。
説その1:西方教会で実施されていた断食期間は40日間。この間も家畜のニワトリが卵を生み続けますが、当時は動物性食品は断食期間は食べられない。そこで卵を保存しようと産み落とされた卵はゆで卵にされます。新鮮な卵と見分けがつくように色をつけて目印にした、という説。
説その2:卵は新しい生命の象徴で、長い冬が終わり草木に芽が出始める春を祝うお祭りですでに民間では卵を装飾して配り合う慣習があった、という説。
イースターに卵に色や模様をつける、という慣習もドイツ発祥という説があります(!)
装飾がほどこされた卵で最も古い記録はなんと西暦4世紀頃のもので、ラインラント・プファルツ州の町、ヴォルムスで発掘されています。
卵を家の中や庭に隠して探すという恒例行事が今でもありますが、イースターに卵を隠すという習慣そのものはなんと17世紀以前から始まったとされています。
どうやって始まったかなどは不明のようですが、一見何気ない卵探しゲームが大昔から続いているとはすごいことですよね。
卵そのもに加え、卵から生まれたひよこなどもイースターのグッズのモチーフになっていたりします。
カーニバルが終わったあたりに、スーパーの卵売り場周辺はイースターモードに突入。
カラフルな卵や卵に色や模様をつけるキットなどが販売されます。
ちなみにイースターのお菓子では卵の型をしたものもたくさん売っています。
ドイツではイースターのチョコレートといえばどちらかというとリンツのチョコレート(下記でも紹介)のようにうさぎ型のチョコが人気&定番ですが、筆者がアメリカにいたときはCadburyの卵型のチョコを食べるのが定番でした。
クリーム・エッグといって、卵みたいに中がとろっとしたクリームが入っています。
アメリカやイギリスなど英語圏ではCadburyのチョコは有名だと思います。日本でも買えますよ◎
うさぎ【イースターバニー】
イースターエッグと並んで定番のイースターのシンボルといえば、イースターバニーなどの名前で知られるうさぎ。
イースターバニーはドイツ語でOsterhase(オースターハーゼ)。
実はこのイースターバニーはドイツ発祥と言われています!
イースターバニーに関する記述で一番古いものは1682年頃。
ドイツの医師ドイツのゲオルグ・フランク・フォン・フランケナウによるもので、うさぎが庭に卵を隠したという内容が書かれています。
もともとは西方教会のルター派の間で広まったとされていて、その後アメリカなどではドイツ系移民からOsterhaseが伝わったそう。
イースターの時期には、うさぎたちが卵に模様を描いて隠す、と言われています。
うさぎが卵が入ったバスケットをかついで跳び回るといったイメージが定着していますが、昔は地域によってはうさぎ以外にキツネや鶴、コウノトリなど他の動物の事を指すこともあったそう。
日本でもお月見シーズンになると『月にうさぎがいる』と言われたりしますが、西洋でもうさぎは月と関わりのある動物とされ、イースターの年代にも関係しているという説も。
うさぎは多産の動物で豊穣の象徴。春一番に子供を身ごもる動物だからという考えもあるとかないとか。
また、ギリシャの愛の女神アフロディーテや、上述したゲルマン神話の女神オステラは、聖なる動物としてうさぎを飼っていたという説もあり、これに関しても賛否両論ですがエピソードとしては素敵ですよね。
このように色々な説や憶測が飛び交うイースターバニーですが、今ではイースターのシンボルとしてしっかり定着しています。イースターシーズンには可愛らしいうさぎグッズがたくさん店に並びます。
数あるイースターうさぎグッズの中でも筆者的におすすめなのはドイツの絵本!
ドイツの作家アルベルト・ジクストゥスとドイツで有名だったイラストレーターフリッツ・コッホ=ゴータの作品、『Die Häschenschule』はイースターの時期に読むのにぴったりの絵本です。うさぎたちが学校でイースターエッグの工作をしたり色々な事を学んでいます。
この絵本は1924年に出版され、以来ドイツの家庭で読みつがれている人気の絵本です。
Die HäschenschuleをドイツのAmazonでチェック
ちなみに日本でも『うさぎ小学校』という題名で出版されているので、日本にいる方もよかったらチェックしてみてください。
絵本も良いけど何か食べるものを、という食いしん坊の方にはイースターの時期に出てくるうさぎのチョコレートも◎
中でも1番有名なのはやっぱりリンツ(Lindt)が発売するゴールドバニー(ドイツ語:Goldhase)!
リンツはスイスのチョコレートメーカーですが、金色のイースターバニーのチョコレート・ゴールドバニーはドイツで1952年に初めて販売されました。
今では世界60ヶ国以上で売られ、イースターバニーは2億個以上生産されているそうで、リンツのゴールドバニーは世界で1番有名なイースターのチョコレートと言っても過言ではないかと。
色々なお店でリンツのゴールドバニーたちを見かけると、イースターシーズンだなぁ、と思います。日本でもオンラインショップなどで購入できるようです。
子羊【イースターラム】
イースターラムはドイツ語ではOsterlammと呼ばれています。
動物のシンボルとして、近年ではうさぎのイメージが強すぎることもあり、イースターのシンボルとして子羊は目立たなくなってきているものの、子羊は昔から重要なイースターのシンボルでした。
食べ物(羊肉)、飲み物(ミルク)、衣類(ウール)を与える羊は生命の象徴として昔から存在していました。
そして子羊は純粋さ、無邪気さ、善良さの象徴であることからキリストのシンボルと言われています。
また、旧約聖書の時代から子羊は神への捧げ物(生け贄)の動物とされていました。
イースターラムを語る上ではキリスト教のもととなったユダヤ教や、旧約聖書に出てくる出エジプトについても関係していて、具体的にはペサハ(過越、英語:passover)と呼ばれる祝日に由来しています。
当時エジプトでは多くのユダヤ人(ヘブライ人)が奴隷として虐げられていて、エジプトから脱出できない状況だった。神はモーゼに民の指導者の役割を与え約束の地へと脱出させようとするが、ファラオはこれを妨害しようとした。
そこで神はファラオが同意するまでエジプトでさまざまな災いを起こすことにした。合計10種類の『十の災い』のうち、10番目の「家畜から人間まですべての長子を皆殺しする」災いを起こすにあたり、家の戸口に印をつけていない家を撃つとした。そこでユダヤの民は家の戸口に羊の血で印をつけた。
これが神がユダヤの民を過ぎ越し出エジプトに至ったことを祝うペサハ(過ぎ越しの祭り)という祝日となり、ペサハでは子羊を食べる習慣がある。
聖書の中でキリストは「神の子羊」や「過越の子羊 」と呼ばれています。
ペサハと復活祭は同じ時期にありますが、キリスト教信者にとっては復活祭の期間、イエスの死から生への「過越」とみなして祝います。
また、キリスト教に改宗した一部のユダヤ人たちが子羊を食べる習慣をもたらしたとも言われています。
イエスは過越の週に十字架にかけられて自身の命を捧げたとされますが、これも「究極の犠牲」であり、捧げ物とされる子羊とも関連があると解釈されています。
今でもイースターの日曜日に世界各地でラム肉を食べる習慣がありますが、本物のラム肉ではなくラムの形をしたケーキを食べるのも定番になりつつあります。
「ケーキ」といっても中身はシンプルなパウンドケーキで、羊の形をしたケーキ型さえあればイースターラム・ケーキは簡単に作れます。
ドイツのAmazonでOsterlamm Backformなどと検索すると、色々なケーキ型が見つかります◎
花【ラッパ水仙・チューリップなど】
カラフルなインテリアグッズがたくさん出回るイースター。
イースターシーズンになると、ドイツのお花屋さんはイースター用のブーケ作りに大忙し。
春を告げるお祝いということで、家族の食卓に花があるとより華やかになります。
ドイツのイースターシーズンに人気のお花といえば、ラッパ水仙。鮮やかな黄色に特徴的な形のラッパ水仙はドイツ語で『Osterglocke』と呼ばれていて、まさにイースターの水仙。
ラッパ水仙以外には、チューリップやクロッカス、スミレやヒヤシンスなど日本でも定番の春の花がドイツでも人気です。
その他にはドイツレンギョウ(レンギョウの交配種)や柳の花、キンポウゲなどもイースターのフラワーアレンジメントでよく登場しています。
ちなみに、英語圏では「イースター・リリー(Easter Lily)」という名前でイースターの時期にテッポウユリを飾るのもポピュラーです。
テッポウユリは日本の百合でイギリスに1770年代後半、アメリカには第1次世界大戦後に伝わりました。
百合自体は昔からキリスト教では重要な花とされていて、西洋絵画でも登場しますが日本のテッポウユリがイースターの百合となっているのは興味深いですね。
【復活祭】ドイツのイースターの由来や日程、シンボルなど在住者が紹介 さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございました!
今回の記事ではドイツ在住者の視点からイースターの由来についてや2021年の日程、イースターのシンボルについて紹介しました。
ドイツ人たちはイースターでどのように過ごしているのか、ドイツでイースターに食べるもの、イースターの時期にドイツに来たらチェックしたいドイツの風物詩・イベントについては別の記事で徹底紹介しているので合わせてぜひ。
【イースターおすすめ関連記事】
当ブログでは他にも色々とドイツについて記事を書いているので、ぜひ合わせてチェックしてみてください!