【ドイツ】アドベントとアドベントクランツ・ドイツのクリスマスシーズンの風物詩について在住者が紹介!

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Guten Tag! クリスマスマーケットとホットワインの国、ドイツ在住のユウコフランクフルト(@yukofrankfurt)です。

この記事を書いている今日はちょうどドイツのアドベントスタートの日!

というわけで、ドイツのアドベントについて、またアドベントに欠かせないアドベントクランツについて書いていきます。

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【ドイツ】アドベントとアドベントクランツ・ドイツのクリスマスシーズンの風物詩について在住者が紹介!

近頃日本でも「アドベントカレンダー」「アドベントクランツ」が知られてきたようですが、みなさんは『アドベント』についてどのぐらい知っていますか?

キリスト教に関係するもの、とはいえ地域や宗派で色々異なる習慣があります。

今回の記事では筆者の住むドイツから、

・アドベントについて

・アドベントクランツについて

などについて調べたので色々と詳しく紹介していこうと思います。

アドベントとは?どういう意味?【待降節・降臨節】

アドベント(アドヴェント/Advent)とは、簡単に言うとキリストの誕生日であるクリスマス前のシーズン、クリスマスに向けて祝うために準備する期間の事。

日本語では待降節(たいこうせつ)、降臨節(こうりんせつ)などともいいます。

『アドベント』(アドヴェント)という言葉自体は辞書で見るともともとラテン語でAdventusから由来し、「来ること・近づくこと・到着すること」などと意味します。

12月25日のクリスマスではキリストが生まれた日としてお祝いをしますが、同時にキリストがこの地に再び到来する(戻ってくる)と信じられていて、その意味も込めてクリスマスまでの期間をアドベントと呼んでいます。

また、西方教会(プロテスタント・カトリックなど)ではアドベントが教会暦(きょうかいれき)・典礼暦(てんれいれき)の1年の始まりとされています。

神の降誕の時期であるクリスマスを記念し、厳かな気持ちで過ごすアドベントが教会での1年のスタート。

その後「主の受難と復活」をたたえるイースター(ドイツ語:Ostern)のシーズンへ。

そして、神の復活50日目に聖霊降臨日があり、ペンテコステ(ドイツ語:Pfingsten)と呼ばれています。

その次の主日から聖霊降臨節(三位一体節)という期間が始まり、再びアドベントの期間になるという流れです。

これらの日はキリスト教の国ドイツでも祝日になっています(州により異なります)。

ドイツの祝日について知りたい方は別の記事で紹介していますので興味があれば参考にどうぞ。

アドベントはいつ?アドベントの期間について

アドベントの期間は、クリスマスより4回分遡った日曜日からスタートと決まっています。

そのため毎年実際の何日にあるかは異なりますが、クリスマス前の4週分さかのぼった日曜日というのは同じ数え方。

クリスマスまでに日曜日が4回あるということになります。

アドベント期間が終わるのはクリスマスイブである12月25日で、それも毎年同じ。

毎年アドベントが始まる日は変わりますが、大体11月終わり〜12月初めのどこかの日曜日です。

2023年のアドベントは12月3日(日)からスタートし、12月24日(金)まで。

2024年のアドベントは12月1日(日)からスタートし、12月24日(火)まで。

アドベントの期間はだいたい4週間ぐらい、ということになりますが、その期間の日曜日が特に重要な日(Adventssonntag)。

アドベントが始まる最初の日曜日を第1アドベント/第1主日(ドイツ語:1. Sonntag im Advent)と呼び、その次の日曜日が第2アドベント/第2主日。

さらに第3、第4と続き、第4アドベントにあたる4週目の日曜日がアドベント期間でいうクライマックス。

カトリックの人は第4アドベントの日に使うロウソクの色を変えたりもします(後述)。

2023年のアドベント期間中の日曜日は以下のスケジュールとなっています。

第1アドベント/第1主日:12月3日

第2アドベント/第2主日:12月10日 

第3アドベント/第3主日:12月17日

第4アドベント/第4主日:12月24日

ちなみに聖ニコラウスの日(Nikolaus)は12月6日

アドベントの期間、ドイツでは何をする?

アドベントの第1主日にアドベントクランツのキャンドルに火を灯した様子

アドベントの第1主日にアドベントクランツのキャンドルに火を灯した様子

アドベントに入ったらサンタが出てくる!わけではありません(笑)

主にこの期間、特に日曜日にアドベントクランツ(Adventskranz)と呼ばれるキャンドルを飾るリースに置かれたキャンドルに火を灯し、信仰深い人は聖書に書かれた聖句を読み上げます。

また、そこまで信仰深い人でなくてもこの時期は教会に行く機会が増えるかも(日本でも年末年始にお寺に行くような感覚でしょうか)。

ドイツではアドベント期間に入った最初の日曜日から毎日曜日にアドベントクランツのキャンドルにつける火の数もクリスマスが近づくごとに増やします。

第1アドベントの日曜には1つのキャンドル、第2アドベントには2つのキャンドル、第3は3つ、クリスマス直前の第4アドベントにはアドベントクランツにある4つのキャンドル全てに火を灯します。

正教会やカトリックの教会に通う信仰深い人の場合は断食などをする場合も。

というのも、もともと中世ではアドベントは禁欲・断食の期間だったからです。

今では、ドイツでもカジュアルにイベント感覚でアドベントを過ごす人が大多数。

クリスマスの前のお祝い的な期間と捉える人がほとんどで、断食どころか会社でのクリスマスパーティなどがあるのもこの時期なのでごちそうをたらふく食べたりお菓子を焼いて食べたりという機会が増えています。笑

大抵の人の場合は日曜日食事のときなどにキャンドルを灯したり程度のようで、宗教的なことはしないパターンのようです。

また、クリスマスプレゼントなどの買い物をしたり、クリスマスの飾りなどのデコレーションをしたりも。

クリスマスツリーは飾る時期はドイツではクリスマスイブが伝統ではありますが、最近ではアドベントスタートぐらいの時期にツリーを飾る人もいます。

家族でケーキを焼いている様子

また、クリスマスシーズンといえばクリスマスならではの食べ物。

シュトーレンやクリスマスクッキーなど色々なお菓子を食べたり、ホットワイン(グリューワイン)を飲んだりも。

今年はコロナで難しいですが、クリスマスマーケットを楽しむのもまさにこの時期。

あとはやっぱりベーキング!

シナモンなどのスパイスの香りが特徴のレープクーヘン(Lebkuchen)やプレッツヒェン(Plätzchen)と呼ばれるクリスマスに食べるクッキーをたくさん焼く(そして食べる)のも定番です。

また、クリスマスまで1日ごとにカウントダウンできるアドベントカレンダーを開けて楽しむのもこの時期の風物詩。

筆者の個人的経験で言うと、ドイツに住み始めた2011年頃はチョコレートなどのお菓子が定番と感じていましたが、ここ数年はお菓子以外のアドベントカレンダーも人気になっています。

アドベントクランツとは?

手作りのアドベントクランツ

アドベントクランツ(ドイツ語:Adventskranz)とは主に輪っか状の形でいわゆるクリスマスリースで、アドベント期間の経過を象徴します。

Advent:アドベント、待降節、降臨節。

Kranz:輪の形をしたものを意味します。花輪や葉っぱでできた冠のことも指します。

ケーキでおなじみのフランクフルタークランツで使われている言葉と同じです。

アドベントクランツは、もともとはドイツなどの西欧教会・ルター派の主にプロテスタントの慣習でとされていますが、その後カトリックなどの他のキリスト教派にも広まっていきました。

また、アドベントクランツは主に家庭で使用されていたものでしたが、公共の礼拝時に行う場も増えているそうです。

アドベントクランツの歴史

クリスマスリース

アドベントクランツの発祥地はその名前からも分かるように筆者の住むドイツ。

今ではドイツ人でもインテリアとして楽しむものに近いですが、アドベントクランツの始まりや歴史の流れを見ていくと興味深いもの。

以下で詳しく紹介します。

アドベントクランツの始まり:ドイツで車輪に灯されたロウソク

アドベントクランツの起源は19世紀にさかのぼります。

1833年、神学者のJohann Hinrich Wichern(ヨハン・ヒンリッヒ・ヴィヒャーン)によってハンブルク郊外に設立された子供のための福祉施設Rauhes Haus(ラウヘス・ハウス)で最初のアドベントクランツが考えられたと言われています。

きっかけは、当時施設にいた子供たちがクリスマス前になるとヴィヒャーン氏にクリスマスはいつなのかと何度も聞いてきたこと。

子供たちがクリスマスまであと何日か数えられるように、馬車の車輪に第一アドベントの日からクリスマスイブまでの日数分のキャンドルを取り付けて(22本〜28本)祈りの部屋の天井からつるしたそう。

当時は毎日カウントダウンできるような作りだったそうで、ちょっとアドベントカレンダー的な要素がありますよね。

ヴィヒャーン氏が馬車の車輪で作った最初のアドベントクランツは19本の赤い小さなキャンドルと4本の太くて白いキャンドル。

月曜〜土曜日に赤い小さなキャンドルに1つずつ火を灯し、毎週日曜日は白いキャンドルに火をつけていました。

ヴィヒャーン氏によって考えられたアドベントクランツは、現在もハンブルク郊外にあるRauhen Hausで見ることができます。

元祖の形そのままのアドベントクランツはドイツ語で『Wichernkranz』とも呼ばれています。

もみの木を使ったアドベントクランツ

ヴィヒャーン氏のたくさんのロウソクののったアドベントクランツを作るには、どうしても大型のものになってしまいます。

1860年代ごろからはアドベント期間毎日火を灯すようなたくさんのキャンドルではなく、日曜日ごとに灯す現代の形に近い4つのキャンドルを使ったものになり、さらに馬車の車輪ではなくもみの木などの常緑樹を使ったものへ変化していきました。

寒い冬で生き延びるもみの木の緑は生命的で、『希望』を意味しているのだそう。

アドベントクランツの形とロウソク

ロウソクとクリスマスのデコレーション

日本に住んでいる方でも最近は知られてきたアドベントクランツ。

どのようなスタイルがあるか、アドベントクランツを形作るシンボルやロウソクについても見ていきましょう。

アドベントクランツの形とシンボル

伝統的なアドベントクランツの形は、基本的には常緑樹でできたリース(輪っか型)に4本のロウソクを灯すような作りになっています。

リースの真ん中部分に5本目の白いロウソクを灯すこともあり、その場合はクリスマス当日に5本目のろうそくに火を灯します。

クリスマスリースといえばドアに飾るイメージですが、アドベントクランツは平らに置いてそこにキャンドルを載せます。

アドベントクランツの形は「神の永遠の愛」を意味します。

リースの形は輪っかで、始まりも終わりもない形はキリスト教の考え方では「永遠」や「無限」を意味します。

また、復活や人々のコミュニティという意味もあるそうです。

リング状の「永遠」をシンボルとしたアイテムとしては、結婚指輪の意味とも似ています。

アドベントクランツに使うロウソクの意味と色について

アドベントクランツの象徴に関しての解釈は様々ですが、

アドベント期間の4週間を示す4つのキャンドルには『イエス・キリストの誕生により神の光がもたらされる』という意味がメインとしてありロウソク=光、という象徴といえます。

また、それぞれのキャンドルに独自の意味があるとされ、

・希望(第1アドベント)
・平和(第2アドベント)
・喜び(第3アドベント)
・愛(第4アドベント)

とされています。

クリスチャンではなくてもアドベントの各日曜日にロウソクを灯す時に、これらのテーマについて思いを寄せてみるのは良い機会。

アドベントクランツに使うキャンドルの色は教会や宗派、地域によりますが、典礼色は紫色(赤紫)とされています。

カトリックの場合は3本の紫色のキャンドルに1本のピンク色のキャンドルの4つが飾られることもあり、最初の3週は紫色のキャンドルに火を灯していき、クリスマス直前の第四アドベントにピンク色のキャンドルに火を灯すそう。

インテリアのアイテムのような位置付けに近くなった今では、ドイツ人も信仰深い場合でない限り各自好きな色のキャンドルを選んでいます。

筆者も今年は4本全て白にしてみました!↓

アドベントクランツが部屋に飾られている様子

ドイツでは色々なスタイルのアドベントクランツがある

ドイツでもエリアによってはアドベントの形や色もさまざま。

例えばクリスマスのおもちゃで有名なザイフェンなどがあるエルツ山地ではアドベントクランツに使うキャンドルは愛や光を意味する赤い色のキャンドルが一般的。

ザクセン州の一部では、24個のナッツで飾ったアドベントクランツもあるそうです。

現代のドイツではアドベントクランツのスタイルも個人で様々で、宗教的な意味が薄れてきた今では家のインテリア的な要素も強いこともあり、様々な色のキャンドルで思い思いのデザインのアドベントクランツを用意している印象です。

クリスマスリース

クリスマス気分を盛り上げるインテリアとしてアドベントクランツを飾る人も多いので、モダンなデザインのものやリースでない形もあり今では「アドベントクランツ」といってもさまざまなスタイルのものがあります。

アドベントクランツをおうちに飾ろう!

ここまで読んで、自宅でもぜひアドベントクランツを飾りたい、と思った方もいるかも。

ドイツではすでにアドベントクランツを用意して第1アドベントでキャンドルを灯した家庭も多いかと思いますが、まだ持っていない、という方も今から手に入れれば問題なし!

アドベントクランツはどこで入手する?

アドベントクランツの入手方法は、

・お店で購入

・自作

の2通りがあります。

ドイツでは、花屋やインテリアショップ、ホームセンターや市場など色々な店で売っています。

日本ではアドベントクランツ自体を売っているお店がまだまだあまりないようですが、一部のお店では取り扱いがあるようです。

楽天で見つけたショップではドイツでマイスター修行をされた方が手がけたアドベントクランツもありました!

アドベントクランツの作り方【自作したい人向け】

少し手間と時間がかかりますが、自分でDIYするのも一案。

極端な話、クリスマスリースとキャンドルが4つあれば形になります!

フラワーキッチン クリスマスリース Mサイズ 直径22-25cm B.ベリーアップル FKRSL
FlowerKitchen

リースを使うのが伝統的な形ではありますが、お皿などにキャンドルを置いただけというスタイルのアドベントクランツもあります。

ドイツでも自分でアドベントクランツを手作りする人も多くて、そのための材料もそろっています。

クリスマスリースだけ市販のものを買ってきて自分でデコレーションしても良いですし、こだわりたい人はリース自体も手作りにするのも楽しいですね。

2020年のアドベント、筆者もおうち時間が増えていたので久しぶりに自分で作ってみました。

アドベントクランツを手作りしている様子

リースも自作!

アドベントクランツの作り方についてこちらの記事で紹介していますので、DIYでアドベントクランツを作りたい!という方は参考にどうぞ。

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【ドイツ】アドベントとアドベントクランツ・ドイツのクリスマスシーズンの風物詩について在住者が紹介!さいごに

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

今回の記事ではドイツのアドベントについて、またドイツのアドベントに欠かせないアドベントクランツについて詳しく紹介しました。

参考になれば幸いです。

これから本格的にクリスマスシーズンですが、みなさまも素敵なアドベント期間を過ごせますように!

当ブログではアドベントやクリスマスに関する記事も色々と書いていますので、合わせてぜひチェックしてみてください。

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